№ 俳句
1 ソラマチや春天突き刺すスカイツリー
2 月光浴ピンクムーンにカタルシス
3 水景庭華絨毯や白つつじ
4 春深しポッポの歌声嘆く妻
5 春暁や薄墨に散る朱鷺(とき)の色
6 木漏れ陽の地に敷く苔の黄毛氈(きもうせん)
7 淡月の思わせぶりや雲の衣(きぬ)
8 緑陰を清流となり風走る
9 百重なす参道躑躅根津社(やしろ)
10 境内にかけ声なきや三社祭
11 三社祭背中の彫りに魅せられて
12 祭りの後勢い酒か涙酒
13 はんなりと藤の紫降(ふ)りにけり
14 薫風に緑の小径陰深し
15 春の暮れ寂しがり屋の犬は泣き
16 巣ごもりの読書も飽きたこどもの日
17 若楓(わかかえで)サンドイッチの光かな
18 清和(せいわ)満つ葉陰の山への道しるべ
19 瀬を踏めば若夏ささらに弾けけリ
20 緑風や抹茶香の立つ奥座敷
21 竹の子だい煮るなと焼くなと好きにしろぃ
22 松山に緑衣(りょくい)映えたりオーガスタ
23 お待たせとすっくと菖蒲(あやめ)濃紫(こむらさき)
24 咲いたのでなくて咲かせた父の庭
25 緑葉を叩く雫を聴き走る
26 ハナミズキ見上げる先は青い空
27 葉桜や叔母が包みし餅の味
28 目黒川ゆったり目指す春の海
29 あでやかに藤のしだれと池鏡
30 缶ビールベランダ吞みする夏近し
31 姫女苑暮れなずむ空道標
32 巣籠に来年こそはと春惜しむ
33 行く春や居間に漂う苺ジャム
34 雲抜けた薄紅色のみずき坂
35 幾重にも咲き溢れし不滅藤
36 竜になれ百瀬の難を超えし鯉
37 葉桜や旧道沿いの城の跡
38 さらさらと傘の雨音春落葉
39 初蝶や弾む足取り晴れ女
40 朝礼の訓示は長し葱坊主
41 パンジーに水遣る此方(こちら)が潤され
42 百合が説く今年も我慢の菖蒲時(しょうぶどき)
43 春驟雨(はるしゅうう)天の諭しか「家帰れ」
44 駆ける子らクルクルキャッキャ風車
45 取り寄せで黄金週間旅気分
46 歳時記に留守番託し春日(はるひ)浴び
47 烏(からす)の巣護(まも)るカラスとニアミスに
48 五月晴れ将門塚(まさかどづか)も新しく
49 遠足の集合写真送り合い
50 強風に並んで土下座葱坊主(ねぎぼうず)
51 やり烏賊(いか)をあてに田の酒旅の宿
52 空豆やサリーのよし子今いずこ
53 大空に雲がプカリ浮く春のよい
54 鯉のぼり親子でおよぐ青い空
55 春の風夏の香りを運び込む
56

57 外来の壁につぼみの声踊る
58 晴れたなら公園行かない?ワイン持ち
59 多摩の里手を合わせれば母子草
60 桜えびパスタにしようと彼がいい
61 芽生えたる草花照らす夏の霜
62 シャボン玉飛行機雲に吸い込まれ
63 金魚田に水張りされて富士写す
64 薪山のシートを外せば蛇々々
65 薫風で緑に捕まるシャトルかな
66 電飾に光りロゴ割る霹靂神(はたたがみ)
67 ヒメジョオン摘むか迷いて一万歩
68 洗い立て母のくせ毛や夏に入る
69 水温む裸足の子らが草駆ける
70 楤(たら)の芽よ裏切られるよ揚げられる
71 若々し黒揚羽舞ふ影落とし
72 しゃがむ子を覗いてみれば蟻一つ