№ 俳句
1 娘(こ)と摘みし時代を巻きてネジリバナ
2 老鶯(ろうおう)やピアニシモから聴きたくて
3 すくと立つ蓮一輪や雨上がり
4 青柿や子の手開けばショータイム
5 摩天楼鳴る風蒼き狂詩曲
6 地球儀を自由気ままに蟻の旅
7 薄き濃き らせん律義にねじり花
8 長梅雨の部屋に蝶舞う初浴衣
9 梅雨空に運慶仏も気が晴れぬ
10 水月（すいげつ）の観音一人梅雨思い
11 参道を登りて仰ぐ梅雨の花
12 梅雨寒に燗酒恋し縄のれん
13 籐椅子に揺れて微睡む（まどろむ）本の国
14 雨降りは嫌いじゃないのと紫陽花が
15 水玉のスカートくるりジルバの娘（こ）
16 湯上りにプハッと破顔金の泡
17 対岸に決壊碑あり半夏雨
18 人生の楽園みては嗚呼ビール
19 株主のまばらな拍手水守る
20 血圧に良いよとバナナまた食らう
21 笹飾り掛け合う声はピッピワッショイ
22 夏詣祈る経路はインフィニティ
23 背比べグングン伸びる立葵
24 緑飽き他の色探す夏近し
25 白雨（しらさめ）やうねる蛇の尾露飛ばし
26 蜻蛉追い走る走るよ猪首の子
27 指切りの解（ほど）けし先に雨蛙
28 梅雨晴れや揺らぐ笹の葉靄立ちぬ
29 向日葵(ひまわり)や逆光の中君探す
30 夏草の匂いあの日のあと一周
31 風鈴や窓に去年の風かすか
32 舞う蠅やゴム鉄砲の射程距離
33 アマリリスなぜ会えぬのか雨の庭
34 君の香に夏のしずくが溶け込んで
35 風待月（かぜまちづき）森で天使のポエム聞く
36 汗ばんだ肌風なぞりし遠き島
37 紫陽花も色褪せ痩せる月替わり
38 父の日に我が子の想い嬉しくて
39 コロナ渦で五輪も揺れる夏の風
40 あちこちでベンダ賑わう梅雨曇り
41 暗闇でせせらぎバックに蛍の舞
42 片陰でもう打ちました？何回目？
43 古代蓮水玉ユラユラ時止まる
44 採りまくる現物支給ブルベリー
45 夏至のタ人の流れのゆるさかな
46 扇ぐものないかカバンに半夏生(はんげしょう)
47 擬宝珠(ギボウシ)の長き花茎に花姉妹
48 川沿いの夜道に香る夏草や
49 獲物より先に逃げ出す家守から
50 五軒先まで見送るよ日輪草
51 日向水しばし足湯と腰かけて
52 蠅取り紙猫が捕まり右左
53 花畑白馬の峰にちんぐるま
54 夏蚕探し歩いて八王子
55 七夕や新たな出会いロマンスを
56 夏句会ほろ酔い姿思いはせ
57 梅雨（つゆ）半ば蕎麦と冷酒でひとごこち
58 御朱印に笹と短冊天の川
59 夏夕べ墨雲（すみくも）を裂（さ）く稲光
60 コロナ禍も我関せずと飛ぶ蛍
61 やまゆりの静かに語るかの野山
62 うずのなか夢を紡いだ夏が来る
63 多摩川に鮎を求めて夏野いく
64 道床にひるかほ生える学び駅