俳句
1 チャリを漕ぐパパの汗染むパンダT
2 雨弾くタイヤの音や秋進む
3 降り(くだり)月タスクを赤いペンで消す
4 雨上がり水溜り行くうろこ雲
5 冷房off自動切換え虫の音(ね)on
6 しくしくといつまで嘆く処暑の空
7 肌掛け(はだがけ)を重ね包(くる)まる白露かな
8 腕が鳴る覚悟はいいか秋茄子よ
9 待ってたが雨月で残念団子食う
10 豚コレラ猪絶滅あゝ嬉しい
11 鳥頭(トリカブト)昔は麻酔今は毒
12 やめてくれ!鹿跳び跳ねて花散らす
13 行く雲や秋風にのりどこへやら
14 虫の音や瞼(まぶた)をあげて星一つ
15 漆黒の甍(いらか)に冴える月の波
16 杉玉の色変わりてや新酒酌む
17 森厳(しんげん)と蝉なく声や第九聞く
18 山蒼翠(そうすい)谷雨に白く染めらる
19 スーパー出(で)嬉し初梨空の風
20 水戸ナンバー黒いベンツと秋の草
21 虫の音を聴きつ残暑はあと少し
22 山の銘(な)の冷酒(ひやざけ)呑んで山想う
23 気がつけばエアコンなしで日々暮らす
24 都心からうっすら富士の雪化粧
25 目を閉じて聴こえる銀河の虫の音や
26 秋風や眠れぬ夜はベランダ呑み
27 盆が過ぎまた秋彼岸墓掃除
28 熊人形垣根の上で主人待つ
29 コロナ禍にオリパラ「普通とは?」問う九月
30 自然薯に秋葵(おくら)納豆ねばねば丼
31 吾亦紅無言の主張に共感し
32 辛子色シャツが映えるよセプテンバー
33 蜩(ひぐらし)や宴の終わり知るごとく
34 白壁の切り絵動きぬ黒守宮(くろやもり)
35 パプリカや大地の息吹はらみをり
36 青蔦の空き家を知りて行軍す
37 秋空や太郎のオブジェ手を広げ
38 桃うまし今朝はブドウの一粒目
39 在宅の合間に句づくり秋日和
40 年金も我のことなり遠花火
41 鈴虫の音色ききほれ暗廊下
42 庭さきや家主求めて秋すずめ
43 炭酸泉ほっと一息夜更けかな
44 曼珠沙華探し求めてユーチューブ
45 秋霖(しゅうりん)や静めよ熱き日の想ひ
46 銀やんま語る少年煌めきて
47 露草やただ青灯す通学路
48 俳句の実なればいいのに糸瓜(へちま)ほど
49 何もかも忘れて秋を走り行く
50 宵闇に鈴虫の声迫り来る
51 夏休みアプリ終了何の花
52 サイレンに心が縮むこの夏は
53 秋郊(しゅうこう)の手すり錆びたる無人駅
54 走り去るペダルのきしみ秋の声
55 一瞬の花野にひとり立ち尽くす
56 こみあげる嫉妬にむせぶ割れ柘榴(ざくろ)
57 雨が降る降らぬかまわず法師蟬
58 辛党が甘味巡りて秋の暮
59 秋辞令送る言葉も画面越し
60 新走(あらばしり)封した店の締めの蕎麦
61 ベランダで一人手酌や秋の暮
62 肌寒き公園で鳴く秋の蝉
63 在りし日の淡い想いか女郎花
64 サプライズ釣瓶落としの永田町
65 わびしかな芙蓉も過ぎし暮紛れ
66 そよ風にすすき手招き合掌屋根
67 月明りきらりと魅せる秋茄子
68 秋潮に時空飛び越え日英母艦